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設計者へのCAEの教育について論じたものです。 |
<設計者の習熟>
#2001年2月19日#よし☆彡#
設計者が解析を習うとき、解析結果の判断方法を具体的に習うことは少ないと思います。それは、
モデル化と判断方法は一心同体で、モデル化の方法を具体的に指示しなくてはならないからです。
私が感じている設計者の習熟を見てみると、3つのフェイズがあります。
フェイズ1 若葉マーク
アカデミックなので飛びついて使ってみる。
この段階では設計検証は解析で行ったというと、誰もが信じやすいし、自分の行った解析結果は正
しいと本人も信じています。多分この段階の人がほとんどでしょう。
でも、その状態が重要な検証であればあるほど一番危険な状態です。たとえば、プログラムで言え
ば、ウイルスの入ったソフトを製品化するのと同じでしょう。このウイルスは、承認者に私は悪いこと
はしませんと信じ込ませる悪いウイルスです。
フェイズ2 疑い
何度も使ってみると、やるたびに答えが変わったり辻褄が合わなくなります。
本人はその原因を理解できません。そこで、一般の講習やユーザの事例を参考にします。ここで、
フェイズ3に直行する人と勘違いをする人と二つに分かれます。
勘違いする人は、事例をのなかで「私の会社では○○のようなモデルを計算した結果、実験結果
より××%低い結果が出ました。」というのを聞いて、そーか解析は××%低い結果がでるのか、
と思ってしまう人です。つまり、自社の製造能力、材料、モデル化、評価をさておき結論だけを信じ
てしまう人です。
このような人は、(都合の良い)思い込みのルール(ノウハウ)を解析や技術計算の式の中に折り込
んでしまいます。(みなさんの近くの設計は大丈夫ですか?)
大概そう言った物が複雑であればあるほど、後継者や同僚もその方法や式を鵜呑みにします。で
すから、組織的な問題になってしまいがちです。
もちろん事例を聞くことは大切ですが、聞いても、ユーザの目的、着眼点、思考錯誤の過程を意識し
て聞く心がけが大切です。また、実際中身を聞いていて、思い込みの発表事例も意外と多いという
ことも私自身は感じてます。
#2001年2月19日#よし☆彡#
フェイズ3 あきらめ
問題が起こる、解析結果と実験結果が合わなかった。何を信じてよいか迷う段階です。たぶん、[解
析は合わないから]と諦めてしまう人も出るかもしれません。
設計者は解析者と違い、解析を探求する時間がありません。多分近くに専門家が入ればサポートを
うけるでしょう。 これで一件落着です。専門家がいない人は大変です。フェーズ2に戻りますか?
私はCAEコンサルティングに診てもらうことをお勧めします。
とまあ、こんな感じですが設計者に簡単な解析を習熟させることは大変です。でもその効果を知って
いるからこそ必要なのでしょう。また、設計の習熟の近道は専門家の作った製品ごとの解析マニュ
アルです。もし、あなたが設計の解析も管理するなら、よく勉強して、正しいマニュアルで具体的方
法(この寸法は何分割が必要で、この解析結果からは応力集中の形状係数αしか使用してはいけ
ない、など)の用に具体的に示す必要があると思います。決して、“細かく切ること”なんて言葉は設
計者が想像を働かせ過ぎますので、禁句です。(笑)
解析は手段ですが、やっているうちに手段が目的になっりがちなので、解析は厄介なのだと思いま
す。(笑)
#2001年2月19日#りす#
>このような人は、(都合の良い)思い込みのルール(ノウ
>ハウ)を解析や技術計算の式の中に折り込んでしまいま
>す。(みなさんの近くの設計は大丈夫ですか?)
弊社内での事例ですが,管内にこびりついた貝が剥がれ
るかどうかの検討する事例があったそうです。小流量の
場合と大流量の場合でどうなるかを検討すれば十分なの
に,小流量から大流量に時系列で変化させたらどうなる
かを検討をはじめてしまいました。水路内流れ解析は
Re>1,000,000と大きいので,非定常計算なんか計算時間
の観点から鼻から不可能なのに担当者が「検討する!」
といって言うことを聞かず,さてさてどうするのかなと
思ったら,
小流量=20m3/s→10m3/sきざみずつ増加→60m3/s
(大流量) の5ケースごと定常流計算をして20,30,40,50
,60m3/sごとの流れの可視化画像をアニメ化して「流量を
20m3/s~60m3/sに増加させた場合,このように水は流れ
ますよ」と出先で説明したそうです。
他には,メッシュを細かく切れば精度が上がると単純に考
えているので,いつも解析は何十万メッシュでいろんなソ
フト上の特殊機能をテンコもりで使うせいか,彼のやる流
体計算はいつまでも解けず,委託業務が始まって半年後に
直属の上司に「この計算終わったか」と聞かれ,「解けま
せんでしたので,解けないということで報告したいです」
と答え,上司に「何考えてんだ,いい加減にしろ」と言わ
れた事例を聞いたことがあります。
弊社の場合,プロパーでないので専門的にやる人は人事政
策上育成しない方針なので,担当者の質が悪いと,上記の
結果が出てくる次第であります。
無論,その彼は4年その職場に在籍してるのですが,社内報
告書,外部発表論文数は0本であることはいうまでもありま
せん。(上司がけつをたたいても何も書かない何もしない)
#2001年2月26日#ff#
沢山のご意見をいただきありがとうございました。
皆さんの意見大変参考になります。
最近のCAEシステムは設計者に簡単に使用してもらうために
以前の解析ソフトと比べてブラックボックスになっている
ところが多いと良くききます。
私はSolidWorksとCosmosWorks、DesignSpaceといった
解析ソフトを使用しているのですが、解析者の方から見ると
このようなソフトって物足りないんですかね。
(編集担当:burning 2001/12/20)