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<ROIみたいな話>
# No.5451 # 2003年6月24日 # ちまき #
今日は書き込みが少なかったのでちょっと書きます。
以前、ハッピーさんがROIについて問いかけられてた
のを思い出したので、その辺で一つ。
(そんな大それたものではないですが)
最近、珍しくコスト計算できる解析の仕事をしました。
私は化学プラントの機器を設計してますのですが
ある機器(重量200ton)を当初2億円で見積もって
いましたけど、使用環境下で材料への水素アタックが
厳しいということで1ランク上の材質に変更することに
なりました。
で、コストアップ10-15%(少なくとも2000万円)
で、FEM解析でマージン削ったシビアな応力評価して
ある部材(25ton)の板厚を一割削減目標に!
という仕事。重量比で概算すると高々200万円の
コストダウンで、とても追いつきませんが
ちょっとでも安くしようということで。
で、10工数もらい、いろいろやってみました。
ところが、3次元で精密に解析した結果、いい加減な手計算の
設計計算式で導いた元の板厚より薄く出来ないとの結論に
なってしまいました。
というわけでコストダウンできないわ、工数使うわで、この仕事
単体では赤字。
でも得られた知見は大きいものでした。
1)手計算式はかなりマージンあると思っていたら、意外に
いい線いっている。(昔の人はすごい!!)
2)将来のキャパアップでは、現在の構造をそのまま相似で
スケールアップすることは非現実的。
その部材が厚くなりすぎて製作困難。新構造検討必要。
特に1)が驚きでした。
てな感じで、私自身は損したとは思ってませんが、コスト
ダウンの期待があっただけに、依頼してきた上司もなーんだって感じ。
とは言え、理解ある人で、いろいろ判って良かったと言ってくれました。
この仕事、収支トントンってところですかね。。。
以上、ROIとは言えないような、せせこましい話ですが
仕事のコストと得られる利益(金だけじゃなく?)のバランスを
見ながら仕事しなきゃいけないなぁと最近気が付きました。
つまらん話でした。あしからず。
注)文中の数値はまんざらウソじゃないですが若干着色しています。
# No.5452 # 2003年6月25日 # ピピ #
> でも得られた知見は大きいものでした。
> 1)手計算式はかなりマージンあると思っていたら、意外に
> いい線いっている。(昔の人はすごい!!)
> 2)将来のキャパアップでは、現在の構造をそのまま相似で
> スケールアップすることは非現実的。
> その部材が厚くなりすぎて製作困難。新構造検討必要。
by ちまきさん
ちまきさんが扱っている責任の重い業務を覗くことができたようで、非常に
参考になりました。
従来のKKD+手計算で対応していた設計が、案外正しかった。みたいな結果が
出ると、世の中ちまきさんみたいに素直に関心する人ばかりじゃなく、
「ほら見ろ、優秀な技術者ならCAEなんか使わなくても同じなんだよ」
って言い出す人が必ず居ません?
もっと困るのが、CAEは経験が無い技術者を補うツールだと思い込んでる奴。
と言うか、自分が出来ないので思い込みたい奴(笑)
そういう人が上に居ると、大変なんですが、ちまきさんは上司に恵まれて
いるようで、じっくり良い仕事ができそうな環境ですな。羨ましい。
話題がそれましたが、個人的な意見としてはですね~。
「ちまきさん。開発設計者として2)をガンガン追求すべし!!」
# No.5511 # 2003年6月28日 # ハッピー #
> でも得られた知見は大きいものでした。
> 1)手計算式はかなりマージンあると思っていたら、意外に
> いい線いっている。(昔の人はすごい!!)
by ちまきさん
うちも、圧力容器の式であるとか、いろんな手計算式を未だ使っています。
手計算式は、設計手法(何をどう評価するか)と一体になっていて長年の
多くの人智&フィールドデータを掛けて熟成されていますから、同じ仮定で
同じ評価をするんでしたら、ホント驚く精度が得られる場合があります。
そういう設計検討項目はFEMは無駄で手計算式をエクセルにした方が良
いでしょう。
手計算式の精度と限界をFEMを使ってサーベイしておくのも有効かも知れ
ません。
FEMの利点の一つは汎用性でしょう。
評価手法を変えないといけなくなった時(組み合わせ効果や新材料、新構
造など)に何年も掛けて手計算式を都度開発できないスピード時代です。
そういう時に、設計センスと「汎用性のある基本的な考え方&計算手法」を
身につけた設計者のパワー増強汎用ツールとしてFEMの価値が高まると
思います。
ウン十年後の技術者に「’00年代の技術者って、凄かったんだなぁ」と言わし
めるような仕事をしたいですね。
そのためには先人が確立した領域をしっかり見極めた上で、どんどん踏み
出すことを考えないといけないでしょうね。
#ROIと言えば、ソフトの価格vs効果も永遠のテーマでしょう。
# No.5564 # 2003年7月8日 # ハッピー #
> 試験準備の講習会の中で、今後は、様々な分野でレベルを分けて認定試験制度を
> 展開していくという説明がありましたが、初級・中級は一般的な知識を問う試験
> であり、上級レベルでは、単に一般的な知識だけでなく、CAE業務経歴や実績
> などを問うことが必要になるだろう。という説明だったと記憶しています。
> 本来なら、実技試験も伴うべきだとは思いますが、中立な立場であるべき学会が、
> 特定のソルバに対して実技試験を実施することは難しいかもしれませんね。
by ピピさん
将来は解析コンサルを目指そうという人のための認定であれば...
実験であれば実験方案、解析であれば解析方案を如何に綿密に論理性を持って
構築できるか。
問題分析力、工学的判断や手計算に基づいてどこまで推測し詰め寄れるか。
チェックポイントをどう設け、どういう解析手法で登頂アタックするか。
初級、中級はその山の困難さで分けられるのかも。
解答結果から自ずと実績実力が判定できるような問題でしたら実技は重要でない
かも知れません。
#超初心者さん、断面力がどういう解析からどういう形で与えられ、それを
どういうローカルモデルに与えるのでしょうか。一般的な手法というのは無いと思い
ますよ。
研究室の先輩、先生はどう考えられているのでしょう。
# No.5566 # 2003年7月9日 # ピピ #
> 解答結果から自ずと実績実力が判定できるような問題でしたら実技は重要でない
> かも知れません。
by ハッピーさん
ハッピーさんのご説明の様に、真の技術力が測れる試験であれば、実技を伴わず
とも、問題は無いですね。
やはり、CAEを極めることは、スーパーエンジニアへの道だな~と実感している
今日このごろです。道は果てしなく長いです。
# No.5574 # 2003年7月9日 # ちまき #
> やはり、CAEを極めることは、スーパーエンジニアへの道だな~と
> 実感している今日このごろです。道は果てしなく長いです。
by ピピさん
確か、スーパーエンジニアへの道って本もあったですね。
ハッピーさんの、手計算でどこまで詰め寄れるか…、には袈裟懸けで
一刀両断された感じ。やられた。スパッと。色々知ったかぶりしてるけど
やっぱり基礎学力・基礎知識が不足してると本質に近づくことも
できないんですよねぇ、我ながら。結局。センスの問題もあるけど。。。
反省しきりです。
解析部門から設計部門に移って3ヶ月経ち、ぼんやり現状が見えて
来ました。(と言っても業種が違うので、製造業の方の言う設計とは
かなり違うと思いますが)
びっくりしたことに、CAEのツール(もちろんFEM等ではなく
理論計算式+αベースですが)が実務に直結した形で整備されており
設計計算の9割はカバーされています(15年もの?でかなり熟成)。
カバーできないところも無理無理つかってます。中々すごいと少々感心。
でも、さらに驚いたことには、保守人員がリストラされて、誰も
面倒見ていないということ。最近のOS移行で動作不安定になって
いても古いマシンで計算してる。
自動化されてる分、数字を入れさえすれば設計できてしまう。
中身を知ってる、ツールに作り込んだ世代の方々は、もう引退。
技術の空洞化を目の当たりにしている気がする今日この頃です。
マニュアルって書いたキングファイルが40冊くらいあるのですが
ほとんど開発当時のまま、大事に保管されています。
おいおい、ホントに大丈夫かよ!と思ってしまいました。
(が、これは解析部門に居た自分から見た偏見に満ちた発言ですね)
でも、このままFEMで設計自動化しちゃったあとの数年後は
やっぱり恐ろしい気がします。みんな、鬼に金棒の鬼にならないと。
どこかで聞いたフレーズです。
たぶんツールが作られた時代は、こんなに設計と解析の間の距離が
(心理的にも)離れてなかったのだろうと思います。機能が専門化
しすぎて、境界領域が取り残されてしまった感じ。だから設計屋は
過去の踏襲で新しいアイデア出ないし、解析屋は難しいこと言って
設計の視点での設計システムへの作り込みができない。そこを埋める
人が必要なんだろうなぁと感じています。
もともと設計屋と解析屋は一心同体だったはずなのに。
うちみたいな規模の会社で、解析専門の部署を作って両方判る人を
設計チームから引き抜いちゃうと、こうなるんだろうなぁと思いました。
(解析専門部署ができて十数年、いろいろと奇妙な一致があります)
認定試験の話とかなりずれました。駄話すいません。
(編集担当:burning 2003/11/24)
<Pro/MECHANICA tutorial 中の名言>
# No.5388 # 2003年6月14日 # ピピ #
最近、Pro/MECHANICA SEで遊んでるんですが、付属のtutorialはなかなか良く
出来ていて、気に入っています。
これは、MECHANICAに関係なく、CAE技術者全般に通用する入門書として扱っても
良いかもしれません。興味がある方は、入手してみて下さい。
Introduction中に、なかなか興味深い言葉がならんでいますので、紹介します。
"Don't confuse convenience with intelligence."
"Don't confuse speed with accuracy."
CAE技術者は、この辺のことを正しく理解しないとまずいですよね。
さらに、極めつけ。
"FEA makes a good engineer better and a poor engineer dangerous."
これこそ、肝に銘じておかなくては...(^_^;)
# No.5391 # 2003年6月15日 # ハッピー #
> Introduction中に、なかなか興味深い言葉がならんでいますので、紹介します。
by ピピさん
紹介頂いて改めて読んでみましたが、"FEA User Beware!"に始まりなかなか良いこと
が書いてありますねぇ。
ピンクのムカデさんの名言と相通ずる内容もありますね。
>No.332 きれいよりもカワイイほうが好みです
> 2000年9月28日 10時15分(木曜日) ピンクのムカデ
> 自社で解析を志す若手への言葉です(盗用あり、ゴメンなさい)
> ①きれいなコンター図には刺がある。
> ②現象の理解が無く、たまたま合った解析結果は恐ろしい。
> ②複雑な解析モデルを作ることは自己満足にしか過ぎない。
> ③苦労して得られた解析結果ほど私意が入り込みやすい。
> ④ベンダーのうまい言葉には騙されるな。
> ⑤百聞は(100回の解析結果でも)一見(1回の現場実験)に如かず。
> ⑥解析結果と実験結果に差があるのは当然。
> 素人は答えを合わせるのに四苦八苦し、
> セミプロは合わない言い訳を見つける。
> プロは素早く設計に役立つ解析結果を導き出す。
社内CAE講習会で参考にさせて貰おうっと。(笑)
#個人勉強向けProEとProMechanicaは「教育的指導」に富んでいるんですね。(笑)
少し前まではProE2001版がありましたが、今はWildFire版に移行したようです。
http://www.ptc.com/products/proe/studented.htm
(「学生版」となっていますが「技術職の方にも...」とありますので安心です)
# No.5394 # 2003年6月16日 # MarcUser #
> さらに、極めつけ。
>
> "FEA makes a good engineer better and a poor engineer dangerous."
>
これいい言葉ですね.実感します.
結局は「人」次第ということを忘れないようにしなければなりません.
(世間はまだまだCAEは実験と経験を置換する魔法の箱のように思っている
感じがありますからね.)
# No.5396 # 2003年6月17日 # ハッピー #
> > "FEA makes a good engineer better and a poor engineer dangerous."
> 結局は「人」次第ということを忘れないようにしなければなりません.
by MarcUserさん
それぞれのメッセージの説明文がまたポイントを簡潔にまとめてあって良いんです。
上の文章の説明の一部を紹介しますと
・エンジニアリングツールの高度化と共にツールに依存する傾向が益々増えている。
FEAのみで判断すると危険な結果を生む。
・洞察力、直感こそ重要であり、加えて何年にもわたる設計の膨大な蓄積を忘れて
はならない
・FEAは貴方の設計能力を増強する(Extend)ための道具とすべし
#Tutorialだけでも購入はできるようです。
# No.5397 # 2003年6月17日 # 2003 #
> #Tutorialだけでも購入はできるようです。
あのぉ~、これは日本語なのでしょうか (^^;)
# No.5399 # 2003年6月17日 # ハッピー #
> > #Tutorialだけでも購入はできるようです。
> あのぉ~、これは日本語なのでしょうか (^^;)
ご心配なく、全て英語です。(^^;;
ソフトは言語を選択できますので日本語OKですが、Tutorialに合わせて私は
英語で入れてます。
#No.5396は私の意訳です、済みません。
(編集担当:burning 2003/11/24)
<CAEの分業>
#2466#2001年12月28日#チャーリー#
話は反れますが、CAEに関しては各工程分業など進んでいるようにも思えます。
国内製造業では、これからの世の中ロボットによる大量生産から
屋台方式など、さまざまな人のレスポンスへのニーズも高まっているように考えてます。
皆様のところでの、CAEは各担当部分をスペシャル化していく方法なのでしょうか?
もし宜しければ、意見ください。
CAEも構造改革を迫られる2002年になるかと、
並列処理も含めて2002年のCAEの目的に、たそがれているチャーリーです。
もうカウントダウンですね。皆様、よいお年でありますように。
#2479#2001年12月30日#ハッピー#
> 皆様のところでの、CAEは各担当部分をスペシャル化していく方向なのでしょうか?
> もし宜しければ、意見ください。
byチャーリーさん
前にも議論がありましたが、CAEの分業が進むと、解析分野(構造、熱、CFD...)
ごとにアナリスト、モデラー、メッシャー、ポスト処理お手伝いに分かれていくのでし
ょうか?
これに設計者が、構想設計担当、詳細設計担当、図面作成、その下請けとなってくると
全てのインタフェースでトランスファー・ロス、ミスが生じる可能性があって、これが
「まさか?」の重大事故の遠因になっていないかと。
分業は必要最小限にした上で、互いにオーバーラップして、「自分だけでも何とかできる」
「お互いの言葉が良く分かる、チェックできる」ようにしないと。
分業を減らすには多能化が前提で、これには、機械的作業の自動化で使い易くすることが
重要ですので来年は、ANSYSのマクロを使って、パラスタが簡単に出来るようにして
いきたい。最適化エンジンとPCクラスタで自動パラスタ・システムも実現できればGood!
(編集担当:burning 2002/03/18)
<設計技術者&解析技術者の議論について>
#1999年6月26日#風来坊#
・私は単なる「解析技術者」は不要と考えています。
理想は、設計者がそのメーカーの研究所の支援を受けて自ら設計解析
を行う体制と考えます。
・「解析」という言葉が難しく聞こえる訳ですが、応力解析についていえば
FEMなんていうのは要するに材料力学です。以前は、片持ち梁の式
を使って変形を見積もっていた、その延長なのです。こんな梁理論より
遥かに正確な答えが速く得られるようになってきたのです。昔なら断面
定数をはじくのに手間暇掛けていましたが、今ならCAD/CAEで一発
回答です。また、CAEを使えば答えが早く出るだけでなく、構造物の
挙動が非常に良く分かる。どこが弱いのか、余裕が無いのか、どこが過剰
なのか。設計判断に必要な情報が「百聞は一見にしかず」で得られる。
結果を見て、設計変更案を考えそれを即解析してその効果をリアルタイム
でしかもビジュアルに確認できる。従来、鉛筆をなめながら机上検討で
進めていた設計検討をより正確にできるわけです。
・こんな便利なツールを自分で使わない手はない!!!
・「解析技術者」、「外部コンサル会社」に依頼すると、とにかく時間が掛か
ります。まず、資料を用意して相手に設計の背景・構造から説明するだけ
で大変な労力がかかります。また、アウトプットも要求した絵は出てきて
も要求しない絵は出てこない。実はここが重要です。解析すると思わぬと
ころに弱点が見付かるものです。それが高応力であれば、解析請け負い人
も気づくでしょうが、他部品と干渉する変形が生じているとか、高温部で
許容値が低い場所であったりすると確実に見落とされます。
つまり、解析とは設計の一手段であり、設計判断を行う者自らの手に
掛かって初めてコストに対する成果があがるものです。
・また、よく見られるケースとして、「コンピュータは若い者の得意分野」
という認識からか、大卒の新人を集めて解析部隊なるものを編成する会社
が少なくありません。これはCAEとOAを混同してしまった愚かなケー
スです。CAEは上にも書きましたが、材料力学を始めとする機械工学
の延長に有ります。これに加えて設計センスが要求されます。とてもじゃ
有りませんが、力の平衡方程式もかけない者の手におえる物では有りません。
・コンサル会社に関しては、会社によるレベル差が相当ある。CAE技術力
は個人依存性が極めて高いものです。どれだけ深く、広い知識を有し、
多くの設計業務に深く携わった技術者が居るかどうか。また、解析理論・
技術、システムの研究動向を睨んで新たな提案をしてくれる力があるか
どうかもポイントです。多くのソフト会社、コンサル会社を見てきましたが、
何れも他社製品、研究機関に関する知識が驚くほど少ないケースが見受け
られます。また、企業としての安定性もポイントです。長い付き合いになる
わけですから。
これらは外から見ても分からないでしょう。難しいところです。
・このように見てくると、やはり社内研究部隊にしっかり、解析技術の
サポートをしてもらえるのが理想となります。何より、製品知識があり、
製品の今後の技術開発方向も掴んでいる。そして解析理論の研究&知識
を生かしたCAEの使い方を指導できる。勿論、安定性も一番。
・社内研究所が無い場合はどうすべきか。その一つの解が「CAE推進室」。
設計部隊に物理的、業務的に限りなく近い、解析技術者集団を設計経験者から
選抜して育成した方が、時間は掛かってもノウハウの蓄積など企業として
得られる物は大きいと思います。
#1999年6月26日#風来坊 #
肝心なことを書き忘れました。風来坊です。
私の属する事業所では、設計者&解析技術者&研究所が、3つの輪を互いに
重ねたような関係で開発&設計&解析を進めています。
・設計者は自分のアイデアを2次元CADで具体化しますが、その検討の過程
で2次元FEM程度はPCで自分で行います。構想段階では、2次元検討で
方向性を探ることも重要です。このような時に、一々、解析技術者に依頼して
いると遅れが生じます。また、最近はメッシュレス解析ソフトも導入し、3次
元CADで作ったモデルで線形解析なら3次元解析もこなします。(3次元と
は言ってもメッシュレスでは精度が低いので詳細検討は解析技術者がFEMで
行います)
・「解析技術者」と言いましたが、実際には解析だけでなく設計計算もこなし
ますし、実験の手伝いもします。従って、製品に対する理解度はかなり深い
と思います。解析そのものは、設計者が作った3次元CADをCAEに取り
込んで行うケースが最も多い。データの変換に際しては、CAEに取り込む
際の変換エラーを修正したり、解析に不要な部分をデフィーチャーする必要
がありますが、これについては設計者に3次元CADモデルの段階で単純化
してもらったり、解析技術者自らが3次元CADを操作して単純化&修正し
ます。解析内容は多岐に亘っており、弾性解析、接触解析、弾塑性・クリー
プ解析、熱伝導・熱応力解析、固有値・非定常応答解析などなど。流体解析
に関しては、まだ難易度が高いため研究所に依頼していますが、その際も
設計者が作った3次元CADモデルを渡して格子を作ってもらいます。また、
流体解析で得られた熱伝達係数や、壁温をそのまま解析技術者がデータ変換
して熱伝導解析、熱応力解析に用いています。
・研究所には、流体解析、燃焼解析、複素固有値問題などの研究的要素の高
い解析を依頼する一方で、疲労強度などの材料強度クライテリアの策定を
依頼しています。(応力解析、熱伝導解析に関しては研究所より解析チーム
の方が数段レベルが上回っており、逆に研究所を引っ張っています。)
つまり、前のメールに書いた、「研究所が解析技術を引っ張る」理想的な
状態とはやや異なる。
勿論、このような体制に一朝一夕でなった訳ではなく、解析チームが相当
頑張って解析の有効性を訴え具体的な成果を示し、かつ設計者が使える
FEMツールの開発、CAE教育などを行ってきたことが大きな力となって
いると思います。(流体解析に関しても1、2年の内に設計部門でもできる
ようにしたいと考えています)
話は変わりますが、CAE業務を行っている方達に申し上げたいのは、
「仕事を楽しめるようにしましょう」ということです。
・設計者からの依頼で動く「受け身」では面白くないでしょう?もっと製品
開発に口を出しましょう。CAE技術者の特権は、製品の様々な挙動、特性
をつぶさに知ることができる点に有ります。CAEを通じて構造力学センス
を磨き上げ、設計者にどんどん意見しましょう。CAEは数値実験とも言わ
れますが、様々な実験を自由自在に行えるのですから特性をより確実につか
めるはずです。
・いつまでも同じ解析の繰り返しではつまらないでしょう?もっと新しい
解析技術に挑戦したい。世の中の先端的な解析を行いたい。と思いませんか?
そのためには、簡単な解析はどんどん設計者にまわしましょう。今は高度な
非線型解析もノウハウが確立できれば「簡単な解析」になるでしょう。そして
自らはもっと高く、もっと広いレベルを目指しましょう。私は、計算機の性能
アップに負けないスピードで技術力を高めていかないとおかしいと思います。
何故なら計算機メーカーは、そのスピードで努力しているわけですから、同じ
エンジニアとして負けるわけにはいかないでしょう。
とにかく、CAEというのは名前のスマートさとは裏腹に、泥臭い、しんどい
ものです。土日に論文・参考書を読み、プログラムのデバッグに追われたり。
そのくせ、なかなか成果が評価されないものです。
「楽しむ」これが一番だと私は思います。
以上、初登場にして、いきなり勝手気ままな意見を述べましたが、
まぁ「うるさいオヤジがいるなぁ」と読み流して下さい。
(編集担当:burning 2001/12/20)