歪みエネルギー
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物体が変形した場合の内力である応力が為した仕事。一本のバネで言えば
よく知られるように、U=0.5Kx~2に相当する。

<歪みエネルギーは何の評価に使うの?>

# 2003年7月4日 # No.5543 # はんにゃ #
解析結果で「ひずみエネルギー」というものがありますが、
どのように評価するものなのでしょうか?
応力でしたら、降伏点や引張強度をバロメーターにして評価しますが、
「ひずみエネルギー」にも何か評価の基準となるものがあるのでしょうか?

4角形shell要素1つでの単純引張をI-DEASで計算して出た「ひずみエネルギー」の値は理論計算と合うのだろうか?と思い、エネルギーだから「力*変位」で計算し、それを「1/2」したら合いました。
(学がないのでやっていることは無茶苦茶です)

本を見ると「単位体積当たり弾性体に蓄えられるエネルギー」とありました。
例えば、弓を引いて矢を放すまで弓にエネルギーが蓄えれます。
このエネルギーが数値で表されてもピンときません。
馬力もそうですが、何馬力と言われてもピンときません。
それよりは、AとBと比べて何馬力違うかのほうに目がいってしまいます。
よろしくお願いします。
先週と今週でレベルの高い話題の中で、くらだらない質問ですみまん。



# 2003年7月5日 # No.5551 # ピピ #
「ひずみエネルギ」は、降伏の指標としても考慮されてますね。
ミーゼスの降伏条件は、八面体せん断応力説 or せん断ひずみエネルギ説から導かれるものです。
#詳しくは、塑性力学の本を読んでください。

しかし、「ひずみエネルギ」=「体積ひずみエネルギ」+「せん断ひずみエネルギ」なので、「ひずみエネルギ」と「せん断ひずみエネルギ」は違います。

それから、「せん断ひずみエネルギ」は、八面体せん断応力と横弾性係数だけで表現できるので、降伏条件としては、八面体せん断応力が降伏応力に達することと同義になってしまう ⇒つまりミーゼス応力。

以上より、
①「ひずみエネルギ」を降伏条件として考えることはできない。
②「せん断ひずみエネルギ」自体を降伏条件にしなくても、ミーゼス応力で十分。
ということで、あまりメリットが無いような感じ。

しかし、使いみちが無い訳でもないと思います。
私は、実固有値解析をやった結果としてモードシェープをアニメーションで見るとき、ひずみエネルギのコンターを出すことが多いです。

振動現象(特に自由振動)は、ひずみエネルギ(弾性エネルギ)と運動エネルギの交換で成り立っているものなので、やはりひずみエネルギで見た方が直感的に考えやすいと思っています(思い込みかもしれませんが)。

何を見るか?ですが、ローカルモードを消したい時には、ひずみエネルギが集中して
いるところを補強します(例えば、材料剛性や板厚を増したり、リブを入れたり)。
そうして、ローカルモードを消していくと、自然に全体モードになり、固有値が上昇するとともに、バランスの良いモデルになります。
モード解析におけるひずみ・応力・エネルギには定量的な意味がありませんから、相対的な比較のために使用するということです。

> 4角形shell要素1つでの単純引張をI-DEASで計算して出た「ひずみ
> エネルギー」の値は理論計算と合うのだろうか?と思い、エネルギー
> だから「力*変位」で計算し、それを「1/2」したら合いました。
> (学がないのでやっていることは無茶苦茶です)

フックの法則に従う弾性体を変形させるのに必要な力は、変位に比例しますよね。
だから、変位:0⇒xまで変化させると、力:0⇒kxとなります(k:バネ定数)。
リニアな変化なので、力の平均値はkx/2になる。
それに変位を掛ければ、馴染みの深い弾性体のポテンシャルエネルギ:kx^2/2です。
はんにゃさんの計算では、力が大きすぎるんですね。

私もあまり理解できてませんので、突っ込んでもらうネタとして書き込みました。
降伏条件として、せん断ひずみエネルギを直接考慮する必要があるケースなどがあれば、ぜひ教えていただきたいです。



# 2003年7月5日 # No.5553 # ハッピー #
> 先週と今週でレベルの高い話題の中で、くらだらない質問ですみまん。
by はんにゃさん

全然、くだらない質問じゃないですよ
CAE実用大事典http://bbs.nc-net.or.jp/forum/jump.php?bbs_type=12&touri=http://bbs.nc-net.or.jp/dictionary/cae/
「歪みエネルギー」「ひずみエネルギー」で検索されると、多くの方の疑問点であることが分かります。



# 2003年7月7日 # No.5560 # はんにゃ #
ピピさん、ありがとうございました。
「運動エネルギー=位置エネルギー」から固有振動数を求めるので、
振動ならば「ひずみエネルギー」を使うのも分かるような気がします。
ハッピーさん、ありがとうございました。

CAE大辞典で「ひずみエネルギ」で検索しました。
2000年5月11日の「ごんたさん」の質問と「ハッピーさん」と「よし☆彡さん」の答えが参考になりました。

歪みエネルギー(今度は密度じゃない)は、構造のバネ定数を求めるのに使えます。
例えば棒状の部材を力Fで引っ張ったときの、棒全体の弾性歪みエネルギーがUであったとすると、バネ定数は、K=2U/(F^2)です。
衝突解析なんかだと、運動エネルギーをどれだけ変形で吸収できるかが評価できるでしょうね。
車の設計なんかで使っていそうな気がします。乗員の生存空間を確保できる範囲の変形でどれだけの歪みエネルギーになるか、がどれだけの速度=運動エネルギーを許容できるかの判定に使えるような。
by ハッピーさん

エネルギー吸収という意味でかつ雰囲気がわかれば良いというのであれば
  1.線形解析のエネルギーから->材料塑性カーブにマッピングし予測する。
  2.静解析のエネルギーから ->動解析の変形量を予測する。
  (こっちは解析じゃないか、塑性力学かな)
なども使われるのでしょうか。
by よし☆彡さん



# 2003年7月7日 # No.5561 # よし☆三 #
はんにゃさん,こんにちわ!

1.線形解析のエネルギーから->材料塑性カーブにマッピングし予測する。
線形解析しか持ってない方,塑性変形量が少ない構造などには使えると
思いますよ. 低サイクル疲労の予測式に用いるマッピング方法
(Nuberの式(綴りは不明))も同じ考えだと思います.
(imadaさんのHPにあったと思います~)

2.静解析のエネルギーから ->動解析の変形量を予測する。
衝撃のエネルギー吸収構造ということであれば,
運動エネルギーが構造の塑性変形で吸収されるとして,
実験屋さんも頻繁に使われてるのではないかと思います.
(解析で言えば,動解析を非線形静解析で模擬)

但し,実際には慣性の影響がありそのとおりには
なりませんが,設計にとっては考えが単純化でき,
アイデアを出しやすくなるのではないでしょうか.



# 2003年7月9日 # No.5566 # ピピ #
> 但し,実際には慣性の影響がありそのとおりには
> なりませんが,設計にとっては考えが単純化でき,
> アイデアを出しやすくなるのではないでしょうか.
by よし☆三さん

恥ずかしながら、過去ログを見ても、ピンと来なかったんですが、説明を加えて頂き、ようやく意味が理解できました。
確かに、こういう使い方ってのは設計ツールとしては重要ですね~。
勉強になりました。



# 2003年7月11日 # No.5593 # 金色ウサギ #
> 「運動エネルギー=位置エネルギー」から固有振動数を求めるので、
> 振動ならば「ひずみエネルギー」を使うのも分かるような気がします。

はんにゃさん、こんにちは。

振動解析では、ひずみエネルギー(ひずみエネルギー密度に変換することもありますが)や運動エネルギー(Kinematic Energy)を使うことがあります。
対象とするモードの固有振動数を上げるには、ひずみエネルギー密度の高い部位の剛性を上げるか、運動エネルギー密度の高い部位の質量を小さくすることを検討します。

ちなみに、I-deasでは、部位ごとの要素グループを作って、そのグループごとのひずみエネルギーと運動エネルギーの総量をモードごとの表(ASCIIです)を書き出す機能があります。振動解析屋さんには便利な機能だそうです。
(編集担当:Happy 2003/10/18)



<歪みエネルギーの計算値を何に使えるの?>

#2000年5月11日#ごんた#
現在、I-DEASを利用し、強度解析をおこなっています。
強度計算を行うと、歪みエネルギーが計算されてきますがこの数値から何が判断出来るのでしょうか?
要素の大きさの判断をすることが可能なのでしょうか?
(例えば、数値が大きい要素は、計算精度があんまり良くない etc)

#2000年5月12日#ハッピー#
歪みエネルギーはFEMにとって最も基本的な量の一つだから出力してくれるんでしょうね.何に使うかは、ユーザー次第かな。
歪みエネルギーではなく、歪みエネルギー密度であれば、メッシュの品質の判定に使えます。
歪みエネルギー密度の等高線を描くとそれが本来理想的なメッシュパターンを示しています。
やはり学生のとき、友人が「歪みエネルギー密度分布に基づく最適メッシュ分割法」とかいう内容で卒論書いてました。今で言うAdaptiveメッシュの走りですね。
この掲示板で「Optishapeによる最適設計解析」が話題になりましたが、あのソフトは歪みエネルギー密度を評価基準として、不要な部分を判定しているようです。歪みエネルギー密度が小さいところは「働いていない=不要」と見なせるわけです。
あと、歪みエネルギー(今度は密度じゃない)は、構造のバネ定数を求めるのに使えます。例えば棒状の部材を力Fで引っ張ったときの、棒全体の弾性歪みエネルギーがUであったとすると、バネ定数は、K=2U/(F^2)です。
衝突解析なんかだと、運動エネルギーをどれだけ変形で吸収できるかが評価できるでしょうね。
車の設計なんかで使っていそうな気がします。乗員の生存空間を確保できる範囲の変形でどれだけの歪みエネルギーになるか、がどれだけの速度=運動エネルギーを許容できるかの判定に使えるような。

#2000年5月12日#ハッピー#
そう言えば、J積分も歪みエネルギーに関係大有りなんです。
「エネルギー解放率」つまり、き裂が進展したときに解放されるエネルギーを表すわけですから。
解放されるエネルギーが大きいほど、き裂は進展しやすい。つまり「危ない!」わけです。
FEMでJ積分を求める方法に「仮想き裂進展法」というのがありますが、これはき裂が進展する前と、仮にき裂が進展したときの歪みエネルギーの差ΔUを求め、これをき裂進展量(ΔA=面積)で除して求めたと思います。まぁ二昔前の知識なので100%の自信はありませんが。

#2000年5月19日#よし☆彡#
私が答えるとまるで車両の衝突解析をしてるようですが、やったことはありませんのであしからず。
 ひずみエネルギーの評価は私もハッピーさんのおっしゃる通りだと思います。
エネルギー吸収という意味でかつ雰囲気がわかれば良いというのであれば
  1.線形解析のエネルギーから->材料塑性カーブにマッピングし予測する。
  2.静解析のエネルギーから ->動解析の変形量を予測する。(こっちは解析じゃないか、塑性力学かな)
なども使われるのでしょうか。
 車の衝突などは、時間差分を解くときに誤差からエネルギーが減少するので、解析の精度判定に使ったりもすると思います。 プレス加工ならいざ知らず車の衝突は低カーボンの鋼などは特に衝突時にひずみエネルギーの蓄え量が上がってしまうのでやっかいですよね。
(編集担当:Happy 2001/12/13)





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